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蒼翠|so-sui

2024|Guest House|天橋立を一望できる大人のための宿泊施設

京都府北部、天橋立を一望できる恵まれたロケーションに計画されたゲストハウス。
日本三景として知られる天橋立を楽しむための宿泊施設で、2つの客室と、プライベートサウナを備えた1室の計3室を立体的に重ね合わせた構成としている。

敷地は観光の中心地から少し離れた、観光エリアの周縁に位置している。程よい密度で建築が建ち並ぶ一方、ロードサイド特有の大雑把な建物も散見される。また、この地域は瓦屋根の採用、壁面後退、色彩基準などのデザインコードを遵守する景観計画区域に含まれている。

本計画では、沿道からの見え方に加え、高所からの鳥瞰的な視点、車窓からの視点、さらには海上(船)からの視点など、多角的な見え方に配慮し、それぞれの視点に対して等しく適切に呼応する形状とスケール感を探ることが肝要だと思われた。

道路側のファサードは、連なる町屋のように壁面を分節し、表情のある街並みを形成することを意図した。これにより、大きく単調なボリュームとなることを避けると同時に、内部では主室に付随する洗面室やWC、収納を沿道側に押し出すことで、主室を整形する役割も果たしている。一方、海側の立面は、一艘の船が静かに停泊しているかのような穏やかな佇まいを目指した。

客室は、1階にキッチンダイニングと庭を楽しめるデッキスペース、2階にベッドルームと露天風呂を配置している。
1階はプライベートでコージーな空間とし、ゆったりとしたダイニングテーブル、豊富な収納、充実した家電を設置することで、長期滞在にも対応可能な仕様とした。
2階は、ベッドルームから露天風呂までの11.6mを一体的な空間としてデザインし、のびやかな視線の抜けとスムーズな動線を確保している。ベッドルームから見通せる露天風呂には、外壁側に外付けブラインド、室内側に電動ロールスクリーンを設け、プライバシーを守りながら快適に使用できる設計としている。また、露天風呂、デスク、窓台、ベッドの高さを揃えることで、腰から上には開放感を、腰から下には落ち着きを感じられる空間構成を意図した。

70㎡弱のメゾネット客室では、住宅でいうリビングルームに相当する面積を抑える代わりに、他の部分の面積を大きく確保し、仕様をリッチにすることで、非日常的な暮らしを体験できるようにしている。
内外ともにスケールの微調整やディテールの工夫を重ね、この場所にふさわしい体験をもたらす建築を目指した。
所在地
京都府宮津市
主用途
ゲストハウス
規模・構造
建築面積:95.90㎡/延床面積:180.23㎡/木造2階建/1階:94.00㎡, 2階:86.23㎡
構造設計
N-STRUCT
設備設計
創見社設備設計
照明計画
原田祐彦(エイテックス株式会社)
施工
株式会社 三野工務店
家具
ARIA
写真
矢野紀行写真事務所