食道具竹上
2019|Shop|道具を通じて食文化を伝えるリノベーション店舗

既存建築物は、木造住宅がひしめき合った地域にあり、京都の市街地に典型的な、鰻の寝床と呼ばれる間口が狭く奥行が長い住宅であった。LABOと売り場やキッチンとの間に視線の行き来を作ることが店舗のコンセプトとして重要な反面、包丁を修理する際、時に大きな音が出るため、防音性に配慮する必要があった。また、LABOの骨組みを既存建築物に新設することで、梁間方向の耐力壁が十分でない状態を補強することも同時に実現するため、開放性と遮音性、構想的合理性の微妙な調整を行なっている。
間口4mの細長い店内では、包丁やその他の食道具といった物語のある商品や、包丁を研いだり講座を開いたりする職人の姿が高密に折り重なって、身近な食文化を伝える風景が作られている。
- 所在地
- 京都市
- 主用途
- 物販店
- 規模・構造
- 木造 /改修部分床面積60.57㎡
- 施工
- 大工中村屋
- 写真
- 中島光行

売り場の包丁ディスプレイは、レイアウト変更の容易さと受け金物が目立たないことが求められた。45mm角のヒノキを5mmの目地をとって壁に取り付け、展示壁面とした。包丁は、ネオジウム磁石を取り付けたスチールアングルによって包丁を支えられ、アクリルケースで保護されている。アングル、アクリルケースは5mmの目地に対し、抜き差し可能とすることで、展示のレイアウト変更に対応している。



