天橋立にあるホテル北野屋内レストランの内装改修を行った。
ホテルの最上階に位置し、天橋立を一望できる絶好のロケーションにある。
改修前から食事スペースとして利用されていた空間を、隣接する客室や宴会場と統合し、約300㎡のレストランとしてリノベーションした。

エントランスホール、個室、バックヤードなどの小スペースを既存の平面の凹凸に合わせて配置することで、大きな空間の形状を整えた。多くの客席を有するため、中央には長さ40m、幅1.6mの動線を一直線に確保し、サービス上の見通しの良さと配膳効率の向上を図っている。

客席は個室を除き、天橋立を一望できるゾーンと、山側に位置し天橋立を部分的に楽しめるゾーンに分かれる。開口部の配置による眺望の違いを踏まえ、天橋立側のゾーンではゆったりとした間隔で席を配置し、景観を最大限楽しめる開放的な空間とした。一方、山側のゾーンでは、格子状のパーティションを用いて柔らかく空間を区切り、落ち着きのある雰囲気を目指した。
パーティションは縦格子に檜材、横格子にブラックチェリーを使用し、小角材を縦糸と横糸のように組み合わせたデザインとした。脱着式のため、用途に応じて取り外すことも可能である。
また、既存部分には1/4球体状の独特な形状の出窓があったため、その意匠を活かし、対称となる位置に同じ形状の壁と天井を設け、半球状の個室とした。

内装のマテリアルには大谷石、赤みのある磁器質タイル、檜、ブラックチェリーを採用。温かみと清潔感、そして整然としながらも優しく気取らない空間を目指した。