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2021|Shop, Studio|清水焼の絵付け食器を販売する伝統工芸士 丹影さんのお店(リノベーション)

清水焼の器に絵付けを行う工房が併設された店舗。
絵付師である丹影(陶号)さんが作品を制作し、販売する空間の設計を行った。
丹影さんは伝統工芸士として、高度な技術を受け継ぎ、技法を後世に伝える活動を行うと同時に、
独自の表現を追求した作品制作を行い、高い評価を受けている。

日常を彩る親しみやすいものや、伝承による型を重んじたもの、そして、伝統技法を柱にしながらも作家個人の世界観を投影したものなど、多様な作品が制作されているが、この店舗では、その中でも作家の独創性が強く現れているものに絞って販売を行うことになった。

私たちは、もともと工房と店舗であった空間を、機能はそのままに、作品を客人に見せるにふさわしい設えに改修する計画を立て、設計監理を行った。
改修前の内装は、フローリングとビニルクロスで覆われた一般的なもので、ファサードにはやや無骨な木製の框戸が設置されていた。丹影さんの極めて緻密で華やかな作品を置くには、心地よい緊張感が足りていないと感じられた。
この不調和を、最小限の操作と投資で調整するために、改修する対象を細やかに吟味した。

まず、既存の床材とビニルクロスを剥ぎ取り、偶発的に痕や斑が現れた床や壁の質感を、侘びた風情として受け入れた。彩度が低く、狭い階調と荒い質感を持った背景は、鮮やかで、豊かな階調と細やかな表情を持った器を対比的に浮かび上がらせる。内装材が剥ぎ取られた空間が、ただの解体現場に見えないように調子を整えるため、また、器が置かれる場の閾としての意味合いを持たせるため、柱梁フレーム状の新たな要素を配置した。フレームは外部のファサードまで伸長させ、既存木製建具は強化ガラスドアに入れ替えた。重鈍な框ドアは避けたかったが、強化ガラス切りっ放しのような工業製品的なシャープさもまた、この店舗に似つかわしくないと思われ、強度上は不要なスレンダーな框を設け、葉書サイズの木製の取っ手を付けた。
器を置く棚は、厚み9mmの(幅250mm)スチールのフラットバー4mを両端で固定したものとしている。間接照明カバーも兼ねた12x30mmのフラットバーを板裏に2本溶接して、たわみを許容範囲に抑えている。展示台の上方に吊り下げたペンダントライトのシェードには絵付けをしてもらい、光を包む器と光を受ける器が呼応するようにした。

7畳ほどの空間を、丹影さんや大工さんたち、協働のコウジンデザインの小川さんと様々なアイデアを出しながら作っていった。
たまたま大工さんの奥さんが以前店舗で働いていたり、エントランス建具の改修に伴う床のモルタル補修では、左官屋さんがいつのまにかモルタルにレンガと続く目地を入れてくださっていたり、オープニングレセプションでは小川さんが料理を作ったりと、様々なご縁や関係性がうまくはたらき、非常に楽しい現場だった。
所在地
京都市東山区
主用途
物販店・工房
規模
改修部分床面積11.50㎡
協働
コウジンデザイン
施工
株式会社 再京建設
パッケージ製作
BOX&NEEDLE
写真
牧野研造建築設計事務所