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建築設計について

ビルディングタイプ

私の事務所では、オフィスや工場、住宅や店舗の設計、ビルや町屋のリノベーション、ランドスケープやプロダクトのデザインなど、様々なタイプの案件を手がけています。
住宅やオフィスのように、毎日長く使うものもあれば、いつもと違うひとときを過ごせるお店、一瞬でワクワクできるガーデンなど、内容も状況も、対象となる相手もそれぞれに違っていますが、共通して大切にしているのは、共感できるものを設計することと、”普通に考える”ということです。
普通に考えるというのは、平凡な考え方をするということではなく、既成概念を取り払って本当に自然な状態は何かと見つめ直すことです。
今まで思い当たらなかったけれど、できてみればしっくりくる、と感じられるような状態を作り出すための心構えです。
毎日使うもの、ひととき過ごすもの、一瞬の体験をもたらすもの、それぞれに共感できるスイッチも、そのつくりかたも違っていますが、いかに生き生き使えるものが設計できるかを日々模索しています。

ソリューション

建築の設計には「課題を解決する」という側面があります。
法的制約が厳しい、予算が限られている、変形地や急斜面である、既存建物が使いにくいなど不利に見える条件をきっかけに、新しい可能性が開けることがあります。
ただ問題点を解決するだけではなく、むしろそうだったからできたと思える建築をつりたいと思っています。
本当に大切なことは何か、難条件はときに価値観を問い直す良い機会です。私たちは複雑な与件を丁寧に調査し、分析します。挑戦的なアイデアも、多くの検討に裏打ちされて実現するため、発想は面白く、仕事は誠実にと心がけています。
そこにしかない答えを導くこと、新しい視点で価値観を再定義すること、暮らし方の自由を拡大する解を見つけることを大切にしています。

シンプリシティ

スッキリした考え方を心がけています。でき上がったものが必ずしもシンプルでなくても良いのですが、全体を貫くわかりやすい考え方を共有することが大切だと考えています。
クライアントと対話し、建築を設計するプロセスは、価値を整理するプロセスとも言えます。コンセプトや本質的な価値について、共有できるスッキリとした考え方を見つけることは、コストダウンを図る上でも効果的です。
建築ができ上がるまでには、大変多くのことを決める必要があり、判断が複雑に絡み合います。目指す方向が共有されていれば、納得しながら気持ち良く決めていくことができます。
また、そうすることで、無駄が削ぎ落とされて、部分部分をそれぞれバラバラに決めたときには現れない空間の質が生まれます。

住宅設計について

住宅が他の建築と一番違うところは、特定の個人や家族のためのものだということだと考えています。設計する際には、私が〇〇さん(クライアント)だったら、ああしたい、こうしたい、これは嫌だなど、考え、想像します。
そうは言っても、完全になりきれるわけではありませんが、何割かはクライアントになりきった私たちが設計しているとも言えるし、別の言い方をすれば、クライアントがいくらか私たちの体をかりて設計しているとも言えるような状態です。
想像と現実の間を確かめるため、模型や図面でコミュニケーションを取りながら、新しい案に更新していきます。
こうしたプロセスから、クライアントの要望がただそのまま満たされたものとも、設計者が単独で考えたものとも違う、クライアントも私たちも当初は想像できない新しい発見に満ちた建築が生まれることが、個人住宅ならではの喜びだと考えています。

ガーデンデザインについて

2012年に「北海道ガーデンショー」という庭の祭典に参加したことをきっかけに、私の事務所ではガーデンのデザインをする機会が増えています。ランドスケープアーキテクトや、庭師、壁面緑化の施工者など、樹木や草花を扱うプロフェッショナルと協働し、新しい感覚のガーデンをつくることを目指しています。
私たちが手がけているのは、作品が主役ではなく、訪れた方が主役になるガーデンです。そこでしか得られない体験や経験をもたらすかどうかを大切な判断基準として製作しています。また、地域の自然環境に根ざしたものとし、ガーデンツーリズム(庭園めぐり)と言われる観光文化促進の一助となることを目指しています。
建築やガーデンの、そのものの美しさももちろん重要なのですが、それを通して得られる体験、経験の豊かさ、作ることで生まれる人の関わりをより大切に設計しています。

ひとつづきの環境

小さな建築でも、何千何万という部分から成り立っています。木や石、土、ガラス、金属、プラスチック、小さなものでは陶器やボンド、ビスの一本に至るまで、様々な部品や材料が集まって建築を構成しています。それら細部のひとつひとつについてルーツを遡れば、日本中、世界中の自然や資源とつながっています。また、建築の一部になるまでに、想像を絶する数の人が関わっていることでしょう。
家具や衣服、食べ物の素材と同じように、元を辿れば、どれもどこかの地域や自然、社会、文化、産業、ひいてはどこかの誰かの暮らしともつながっています。そんなダイナミックな循環の中から、暮らしの場にふさわしいものを選び取り、集めたものが生活環境と言えるかもしれません。
建築をひとつのパッケージされた商品と捉えるのではなく、様々なルーツを持ったものの集まりと捉え、そのひとつひとつについて、知ること、考えること、選ぶことをクライアントと共有したいと考えています。